「霧島茶(きりしまちゃ)」という名前を聞いたことはあっても、どんなお茶なのかをご存じの方は意外と少ないかもしれません。この記事では、鹿児島県霧島市で1947年からお茶をつくり続けてきた今村茶園が、霧島茶の定義や産地、味の特徴、鹿児島茶との関係、品種、おいしい淹れ方までをまとめて解説します。
霧島茶とは(定義と産地)
霧島茶とは、鹿児島県霧島市を中心とした霧島山麓一帯で栽培・製造される日本茶の呼び名です。霧島は鹿児島県の北東部、霧島連山のふもとに位置する山あいの土地で、その名のとおり朝夕に霧が立ちこめる日が多いことで知られています。
茶畑は山の斜面や高原に点在し、平坦地の大規模な茶園が多い鹿児島県内の他の産地と比べると、山間地ならではの環境でお茶が育ちます。今村茶園も、霧島市隼人町嘉例川の山あいで三世代にわたり茶づくりを続けてきた茶農家です。栽培から製造・仕上げまでを自園で一貫して行っています。
霧島の気候と土壌が味に与えるもの
霧島茶の味わいを支えているのは、霧島ならではの自然環境です。
- 火山性の土壌:霧島連山のふもとに広がる火山土壌は水はけがよく、茶の根が深く張りやすい土地です。今村茶園では、稲わらや落ち葉、籾殻を微生物の力で発酵させた堆肥を長年土に還し、土そのものの力を育ててきました。
- 霧と湿度:朝夕に立ちこめる霧は直射日光をやわらげ、茶葉が育つあいだの乾燥を防ぎます。日差しが穏やかになることで渋みのもとになる成分が増えすぎず、旨味を保った葉に育ちやすいと言われています。
- 山間地の寒暖差:昼と夜の気温差が大きい山あいの環境では、茶葉がゆっくりと育ちます。ゆっくり育った芽には、味と香りが凝縮しやすくなります。
鹿児島茶との関係 ― 鹿児島県内の産地のひとつとして
鹿児島県は全国でも有数のお茶の産地で、県内で生産されるお茶は総称して「鹿児島茶」と呼ばれます。県内には知覧をはじめ複数の産地があり、霧島茶はその中のひとつ、山間地・霧島で育つお茶という位置づけです。
つまり「鹿児島茶と霧島茶は別のお茶」なのではなく、霧島茶は鹿児島茶という大きなくくりの中の産地ブランドです。温暖で平坦な茶園の多い鹿児島県にあって、標高が高く霧の多い霧島は、同じ鹿児島茶の中でも個性のはっきりした山のお茶の産地と言えます。
霧島茶の味の特徴
霧島茶、とくに煎茶の持ち味としてよく挙げられるのは、次の3つです。
- 濃厚な旨味:今村茶園では収穫前の一定期間、畑に覆いをかける被覆栽培を行い、直射日光をやわらげることで渋みを抑え、旨味を蓄えた茶葉に仕上げています。
- 山のお茶らしい澄んだ香り:霧と寒暖差の中でゆっくり育った葉は、すっきりと澄んだ香りを持ちます。
- 長い余韻:飲み込んだあとに甘みと旨味が静かに続くのも霧島茶の魅力です。今村茶園が「霧島の余韻を長く留めたい」という思いでお茶をつくっているのも、この余韻を大切にしているからです。
霧島茶の主な品種
ひと口に霧島茶といっても、使われる茶の品種はさまざまです。今村茶園の商品に使われている品種を例に挙げます。
- やぶきた:全国で広く栽培されている定番品種。味と香りのバランスがよく、煎茶の骨格をつくります。
- さえみどり:鮮やかな水色(すいしょく)と上品な甘み・旨味が特徴の品種です。
- つゆひかり:まろやかな旨味と華やかな香りを持つ品種です。
- やまとみどり:今村茶園の初代の時代から霧島で育てられてきた品種で、現在は有機紅茶として受け継がれています。
特上煎茶や有機煎茶では、これらの品種を合組(ブレンド)して、一杯の中で味のバランスを整えています。
おいしい淹れ方のヒント
霧島茶の旨味を引き出すコツは、湯温を少し下げてゆっくり淹れることです。
- 沸かした湯を一度湯冷ましや茶碗に移し、70〜80℃程度に冷ましてから注ぐ
- 茶葉は1人あたり2〜3g(ティースプーン1杯ほど)を目安にする
- 抽出時間はおよそ1分。二煎目はやや熱めの湯でさっと淹れる
- 茶葉は冷蔵庫または冷凍庫で保存し、開封後は早めに飲み切る
今村茶園の商品はパッケージ裏面にも淹れ方を記載していますので、あわせて参考にしてください。
今村茶園の霧島茶
今村茶園は1947年の創業以来、霧島市で三世代にわたりお茶をつくってきました。現在は有機JAS認証・ASIAGAP認証を取得し、化学農薬に頼らず、発酵堆肥で育てた土の力でお茶を育てています。
- 霧島茶|特上煎茶:さえみどり・つゆひかり・やぶきたを合組した、旨味の濃い今村茶園の看板煎茶です。
- 霧茶人|有機煎茶:有機JAS認証の煎茶。穏やかな味わいと長く続く余韻が特徴です。
- 霧島茶コレクション:ほうじ茶やティーバッグを含む、霧島茶の商品一覧はこちらからご覧いただけます。
霧島の霧と火山の土が育てた一杯を、日々の暮らしの中でぜひお楽しみください。








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